不登校の原因は「エネルギー不足」ではなく「エネルギー過多」にある|過多解消の2つの方向性について

お子さんが不登校になり、学校に行けていない。

エネルギー不足なのだろうと思い、ゆっくり休ませてあげる。

でも、エネルギーが貯まっている様子もなく、元気のないわが子。

無気力、昼夜逆転、ネット依存。

エネルギーが貯まっているどころか、むしろ、エネルギー不足に拍車がかかっているのでは?

このように感じたことはないでしょうか?

「不登校のお子さんは休ませる必要がある」と聞いて、休ませてあげている親御さんは多くいると思います。

確かに、休ませてあげる必要はあります。

ただ、それは、「エネルギー不足」だからではなく、「エネルギー過多」ゆえに、休ませてあげる必要があるのです。

不登校のお子さんは、エネルギーが不足しているのではなく、むしろ溜まってしまった(負の)エネルギーを発散できずにいるのです。

その状態でエネルギーを補充しようとすれば、ますます「エネルギー過多」が進み、結果、無気力になっていきます。

ですので、まず、いかに「エネルギー過多」を解消するか。

すなわち、いかにエネルギーを発散させるかが大事になってきます。

そのようにして、エネルギーを発散できると、前向きなエネルギーを補充することができます。

呼吸をする時、まずは吐きますよね。

息をたくさん吐くことで、たっぷりと息を吸うことができます。

同じように、不登校のお子さんも、まずは発散させてあげる必要があるのですね。

では、どのように、溜まってしまった(負の)エネルギーを発散させれば良いのでしょうか?

エネルギー過多の原因|モヤモヤの負の感情が溜まっていること

エネルギー過多の原因|モヤモヤの負の感情が溜まっていること

まず、「エネルギー過多」とはどのような状態なのかをお伝えします。

不登校のお子さんは、自分の心を整理できず、モヤモヤしています。

このモヤモヤを発散できていない状態が「エネルギー過多」です。

  • クラスメイトに嫌がらせを受けて感じた悲しみ
  • 回復できない自分に対する自己嫌悪
  • 親に迷惑をかけてしまっている罪悪感

このような感情で心がいっぱいになっています。

前向きな感情であっても、ネガティブな感情であっても、感情は「エネルギー」です。

ですので、不登校のお子さんは、エネルギー不足ではなく、エネルギー過多の状態になっているのです。

流れがないと水が腐っていくように、エネルギーも使わないと腐ってしまいます。

負の感情が発生した時、それ自体が悪いわけではなく、その感情にどう対処するかが大事です。

放っておけば、感情が腐ってうつになっていきます。

一方で、悔しさや悲しみをバネにして、自分を成長させる人もいますよね。

私自身、25歳の時に失恋しまして、その悲しみをバネに、自分を磨いたのを覚えています。

このように、痛み、悲しみ、悔しさを成長のバネにできるのか、それとも腐らせてしまうのか。

これが大きな分かれ目です。

ですので、お子さんが不登校になってしまったからといって、ただ休ませてしまうと、エネルギーが腐ってますます悪い方向に進んでしまうのです。

さらに悪いことに、その状態が長く続くと、逃避のためにエネルギーを使うようになります。

高校生にもなると、知恵がついてきますし、親に対して気持ちを押し通すようになります。

向き合わないための言い訳を考えたり、反発する方向にエネルギーを使ってしまうのです。

ですので、なるべく早いうちに、この「エネルギー過多」を解消してあげる必要があります。

では、どのようにその(負の)エネルギーを発散させてあげれば良いのでしょうか?

エネルギーを発散させる2つの方向性

エネルギーを発散させる2つの方向性

エネルギーを発散させる時、2つの方向性があります。

その2つの方向性とは、次のようなものです。

  1. 話を聴くなどして、感情を発散させてあげる
  2. 新しいことに触れることで、エネルギーを発散させる

1 話を聴くなどして、感情を発散させてあげる

「過去に何があったのか」「どんなことがつらかったのか」など、話を聴いてあげることにより、モヤモヤしている感情を発散させてあげます。

この時、1つ注意すべきことがあります。

それは、「中立的な立場で聴いてあげる」というものです。

ある親御さんは、お子さんの話をよく聴いてあげていました。

そのお子さんは学校でいじめを受けていたそうです。

わが子がいじめを受けていたことを知った親御さんは、親御さん自身が怒ってしまい、学校やいじめをしていた親御さんに抗議するようになりました。

結果、大事になってしまい、ますます問題が大きくなっていきました。

どうにもならなくなった頃、お子さんは「そこまでやってほしいとは思っていなかった」とボソッと言ったそうです。

お子さんは、話をただ聴いてほしかったのですが、親御さんが感情移入をしてしまい、事態を悪化させてしまったのです。

このように、聴き手が感情移入してしまうと、エネルギーを発散させてあげるどころか、余計に(負の)エネルギーが溜まってしまうことがあります。

ですので、中立的な立場で聴いてあげる必要があります。

お子さんの話を、肯定するわけでも、否定するわけでもなく、「そうだったんだ」とただ聴いてあげます。

子どもは、「親に迷惑をかけたくない」と思っているため、自分が話すことで、親の感情が動いてほしくないです。

逆に、親がむしろカラッとしていて、さらっと聴いてくれると、子どもの気持ちが楽になります。

このように、「ただ聴いてあげる」ことによって、子どものエネルギーを発散させてあげます。

もし、「ただ聴く」というのが難しい場合は、カウンセラーなど専門家に任せるか、親戚や信頼できる知人など、距離のある人に話を聴いてもらうのも、良い方法の1つです。

2 新しいことに触れることで、エネルギーを発散させる

もう1つ、エネルギーを発散させる方法があります。

それは、モヤモヤの感情を発散させるのではなく、前向きな感情を起こして、負の感情を薄めてあげる方法です。

例えば、

  • 美味しいものを食べに行く
  • 自然の中に入る
  • 旅行に行って新しいものに触れる

など、抱えている負の感情と違う、前向きな感情を味わわせてあげます。

ある子は、ものすごい怒りの感情を抱えていたのに、15分ほど外を一緒に散歩したら、それだけですっきりした表情になりました。

少し、心理学的な話になりますが、負の感情は、「過去のつらい記憶」が引き起こしています。

大人であっても、学生時にやってしまった失敗を思い出して、少し苦しくなることがありますよね。

このように、過去のつらい記憶が、負の感情を引き起こしています。

過去のつらい記憶を抱えたまま、休ませて時間を与えても、その記憶はなくなりません。

むしろ、脳は記憶を強化してしまうので、モヤモヤの感情を増やしてしまいます。

では、どうすれば良いかというと、新しい記憶を作ってあげます。

美味しいものを食べる経験や、旅行に行って新しいものに触れる経験するなどして、新しい記憶ができると、過去の古い記憶が弱くなります。

過去の記憶が弱くなることで、負の感情も発動しにくくなります。

新しい記憶が、好ましいものであれば、肯定的な感情が起きるようになっていきます。

このようにして、負の感情、負のエネルギーを発散させることができます。

ですので、お子さんの好きなことなど、前向きにたくさんやらせてあげて、新しい記憶を作ってあげてください。

ただし、この時、ネットやゲームをやらせることには注意が必要です。

詳しくは、以下の記事に書きましたが、ネット依存やゲーム依存になる可能性があるからです。

【不登校の子どもがネット依存になる3つの原因と、その対処法|Y君の回復事例を元に】

この記事に書かれているようなことを心がけ、新しい記憶を作らせてあげてください。

習慣を整えることで、日常的にエネルギーを発散できる

習慣を整えることで、日常的にエネルギーを発散できる

もう1つ大切なことがあります。

それは、生活習慣を整えることです。

エネルギー過多になり、無気力になると、生活習慣が崩れていきます。

歯を磨くことが面倒くさくなったり、お風呂に入るのが面倒くさくなったり、食事を摂ることすら面倒くさくなることがあります。

生活習慣が整っていれば、日常生活で使うエネルギーすら、発散できなくなり、エネルギー過多に拍車がかかります。

エネルギーが溜まっているので、体が疲れなくて、夜眠ることができず、昼夜逆転になっていきます。

ですので、生活習慣を整え、日常的にエネルギーを発散できるようにします。

加えて、散歩や外出など、エネルギーを使う機会を作るとなお良いです。

さらに、家事の手伝いをさせてあげると良いです。

自分が役に立っている実感を得られますし、「人に喜んでもらえている」という前向きな感情を得られます。

ちょっとしたことで良いので手伝ってもらって、「ありがとう」をたくさん伝えてあげてください。

家事を手伝いをすることでエネルギーを発散できますし、「ありがとう」を言ってもらえることで、前向きな気持ちになることができます。

心に深い傷を負っている場合

心に深い傷を負っている場合

以上のように、エネルギーを発散させてあげる必要があるのですが、お子さんによっては、負の感情を発生させている記憶が、強固な場合があります。

  • ひどいいじめを受けた
  • かなりショックな出来事が起きた

など、簡単には癒えない心の傷を負っている子どもがいます。

これは、ただ話を聴いたり、新しいものに触れるだけでは、根本的には解決しません。

それに対処するのがカウンセラーなどの専門家なので、ご家庭で無理にすることはお勧めしませんが、無理のない範囲でやるのは、良い効果があることもあるので、対処法をお伝えします。

子どもが心に深い傷を負った時に、同時に「思い込み」を持つようになります。

  • 自分は世界の全ての人から嫌われている
  • 自分は生まれてきてはいけなかった
  • この世界は、とても冷たい

など、心の深い部分に「思い込み」を刻んでしまいます。

この「思い込み」が、トラウマレベルで、強い感情を引き起こしている場合があります。

この「思い込み」を取り除いてあげるのがカウンセリングの技術なのですが、今回は、シンプルでやりやすいものをお伝えします。

そのやり方とは、「問いを投げかける」というものです。

「思い込み」は実は漠然としています。

「みんな自分のことを嫌っている」という思い込みがあった時、「みんな」という言葉を使っていて、特定の人を指しているわけではありません。

「自分はいつもうまくいかない」という思い込みも、「いつも」と漠然とした表現をしています。

この漠然とした表現に問いを投げかけることで、思い込みにひびを入れることができます。

  • 「世界の全ての人」って具体的には誰?70億人全員?
  • 「生まれてきてはいけなかった」って、何がきっかけで感じるようになったの?
  • 「この世界」って、日本のこと?学校のこと?それとも、火星や木星も含めて?

というように、問いを投げかけ、つっこんで聴いてあげると、負の感情を生み出す論理が破綻します。

もちろん、受けた傷の痛みが全て消えるわけではないですが、肥大化した劣等感や罪悪感から解放され、最小限の痛みに抑えることができます。

このようにして、強烈な負の感情が収まったところで、新しい肯定的な記憶を作ってあげることで、ますます負の感情が小さくなっていきます。

エネルギー不足を心配しなくても、エネルギーは自然と生まれてくる

エネルギー不足を心配しなくても、エネルギーは自然と生まれてくる

このように、負の感情を発散できると、前向きなエネルギーが自然と生まれてきます。

息を吐ききれば、自然と息が吸えるような感じですね。

「勉強してみようかな」「外出してみようかな」「お手伝いしてみようかな」など、本当の意味でエネルギーが満ちている様子が見られるようになります。

こうなれば、休ませるどころか、子どもの方から動き出すようになり、良い意味で休ませることはできないでしょう。

以上のように、「不登校のお子さんは、実はエネルギー不足になっているのではなく、エネルギー過多になっている」という、視点のズレが、不登校が回復しない大きな原因となっています。

まずは、お子さんのエネルギーをどうすれば発散できるか、小さなことからで良いので試してみてください。