不登校で寝てばかりの時の対処法|まずはスマホ世代の「目的意識」を理解する

不登校になると、子どもは、昼間に寝てばかりになることが多いです。

不登校になった最初の頃は、昼間にも起きていたとしても、ぼーっとゲームをやっているか、Youtubeを見ているばかりで、徐々に、生活リズムが乱れ、ついに昼夜逆転。

深夜まで起きているようになり、ゲームをやっている子どもの笑い声が、真夜中に家に響いて、イライラしてしまう。

このような経験をした方もいるのではないでしょうか?

不登校になった子どもが、昼間に寝てばかりになってしまう理由は、実はシンプルです。

それは、「起きている目的がないから」です。

昼間、学校には行かないですし、することもないので、寝るしかありません。

一方で、夜になると、学校から帰ってきた友達と、ネットゲームができるので、夜遅くまで起きています。

これは、「友達とゲームをする」という目的があるからです。

大人でも、休日にやることが全くないと、昼間にぼーっとしてしまいますよね。

人間は、目的がないと活発に活動できません。

ですので、寝てばかりの子どもには、「起きている目的」を持たせることが必要なのです。

ですが、ここで、1つ注意しないといけないことがあります。

これを理解しないと、子どもに目的を持たせようとしてもうまくいきません。

「進学のために、勉強したら?」

「体調を整えるために、生活のリズムを整えた方がいいよ」

このように、子どもに目的を持たせようとしても、うまくいきませんし、むしろ、子どもは不機嫌になり、これが続くと親の言葉に耳を貸さなくなります。

それは、親の「目的意識」と、子どもの「目的意識」に違いがあるからです。

例えて言うと、犬にキャットフードを与えるようなもので、親の目的意識で子どもに目的意識を与えようとしても、うまくいかないのです。

この違いを理解することが、子どもが目的を持てるようになることの第一歩です。

では、親と子どもの「目的意識」の違いがどのようなものなのか、お伝えしていきます。

不登校の生活改善の第一歩目|世代ごとの「目的意識」の違いを理解する

不登校の生活改善の第一歩目|世代ごとの「目的意識」の違いを理解する

「目的意識」は、世代によって違いがあります。

多くの場合、60代より上の方の目的意識は、「飢えないこと」です。

(あくまで傾向であり、例外ももちろんあります)

戦後の日本の貧しさを経験し、豊かになるために尽力されました。

「食に困らないようにすること」が、働く意味であり、生きる意味であったと言えます。

次に、40〜60代の方の目的意識は「より豊かになること」です。

日本の高度経済成長を経験し、仕事をすればするほど豊かになりました。

物質的に豊かになっていくことが、働く意味であり、生きる意味であったと言えます。

30〜40代の方の目的意識は「自己実現」です。

日本が十分豊かになってしまったので、これ以上の豊かさを求めません。

「生きがい」や「自分らしさ」を求めます。

経済的に多少貧しくなるとしても、生きがいを求めてボランティアをしたり、自分らしさを求めて起業する人が多いです。

このように、世代によって、「目的意識」に違いがあるのですね。

仕事に対する目的意識も、勉強に対する目的意識も、世代によって違いがあるため、違いを認識しないで話をしても、話が噛み合いません。

それで、子どもに「学校に行きなさい」と言っても、子どもは目的意識を持てないのですね。

では、子どもの世代、10〜20代の人たちは、どのような「目的意識」を持っているのでしょうか?

10〜20代の若者の目的意識

10〜20代の若者の目的意識

30〜40代の人は「自己実現」が目的意識にあるという話をしました。

10〜20代の若者は、この「自己実現」の欲求は満たされています。

なぜかというと、スマホが普及したからです。

スマホがあれば、何でもできます。

好きなゲームが無料でできますし、音楽編集ソフトや動画編集ソフトも無料で手に入るため、自分のやりたいことが、スマホ一台あれば、何でもできるのです。

YoutubeやTikTokなどを使えば、自分の発信をみんなに見てもらえるため、承認欲求を満たすことができます。

このように、スマホを使うことで、「自己実現」の欲求が満たされているのが、10〜20代の若者なのです。

ですので、10〜20代の若者に、「安定した収入のために勉強しなさい」と言っても心に響かないですし、「夢を叶えるために勉強したら?」と言っても心に響かないのです。

このことに、私自身、昨年に気づきました。

教え子たちが、良い会社に就職することに興味を持っていないですし、夢の話をしても心に響きませんでした。

それで悩んで気付いたのが、次のことだったのです。

「10〜20代の若者たちは、人の幸せに貢献することを願っている」

それまで、教え子と進路の話をする時、「〇〇さんの夢は何?」と聞いていたのですが、良い反応はありませんでした

ですが、ある時、「〇〇さんは、誰の役に立ちたい?」と聞いたら、良い反応が返ってきました。

そこで、「他者貢献」の観点から進路の話をするようにすると、子どもは自分の将来を考えられるようになっていきました。

「自己実現」の欲求が満たされた人は、次に「他者貢献」を求めます。

スマホにより「自己実現」の欲求を満たした10〜20代の若者は、「他者貢献」を求めています。

ですので、子どもに目的意識を持たせる時は、「他者」を意識させる必要があるのです。

おそらく、今不登校のお子さんをお持ちの親御さんは、お子さんが将来、収入が安定した仕事に就いたり、豊かな生活をしてもらうことを願っておられるのではないでしょうか?

ですが、お子さんは、たとえ貧しくても、人の役に立てる生活ができることを願っています。

このように、親御さんとお子さんの目的意識に違いがあることが、親の言葉が子どもの心に響かない理由なのです。

子どもの目的意識を理解した言葉がけをする

子どもの目的意識を理解した言葉がけをする

ですので、「他者貢献」を意識した言葉がけをしていくことが、子どもに「起きている目的」を持たせることの第一歩です。

例えば、「昼夜逆転はみっともないから、生活のリズムを整えなさい」というのではなく、「夜起きていると、お父さん、お母さん、眠れなくて、次の日、仕事がつらいのね。だから、少し早めに寝てくれると助かるよ」というように、「他者のため」という理由をつけてあげます。

あとは、洗濯物を干すのをお願いしても良いと思います。

洗濯物は昼間に干さないと乾かないですよね。

「家族の洗濯物を干すために、朝起きる」というような目的を作ってあげます。

学校に行く目的を話してあげる時は、学校の勉強がどう人の役に立つのかを伝えてあげます。

  • 発展途上国には、学校に行けない子がいる。教育を受けられる日本人が、彼らの教育の場を作ってあげる必要がある。そのために勉強するんだよ
  • グローバル化が進んだら、町中外国の人だらけになるよね。その人たちと話すには英語が必要だよね
  • 数学って、「問題を発見する力」を鍛えるためのもの。困っている人の解決を助ける力になるんだよ

このように、学校の勉強が「他者貢献」につながることを実感させてあげることで、勉強に対する目的意識を持つことができます。

勉強への目的意識を持つことができたら、昼間に家庭教師をすることで、昼間に「起きている目的」を作ってあげることができるかもしれません。

このように、目的意識の違いを理解した言葉がけを意識してみてください。

「目的意識」以外の、大人と子どもの感覚の違い

「目的意識」以外の、大人と子どもの感覚の違い

このように、「他者貢献」を意識して、「起きている目的」を作ってあげることが大切です。

ここまでは、「目的意識」の違いについて考えてきましたが、他にも親と子どもで感覚の違いがあるので、それらの違いについてお伝えします。

その違いとは、次の3つです。

  1. 時間が流れる感覚の違い
  2. 「答え」より「問い」を必要としている
  3. 直線思考ではなく、放射思考をしていることがある

1 時間が流れる感覚の違い

10〜20代の若者は、流れる時間の感覚が、非常に早いです。

例えば、私が中学生の頃は、好きな音楽のCDを買ったら、3ヶ月は楽しめました。

ゲームを買っても、3ヶ月から半年はやり込みました。

ですが、10〜20代の若者は、興味を持つのが早く、飽きるのも早いです。

それは、無料のものがたくさんあるからです。

私の場合は、CDを買うのに小遣いの大半を使ったり、バイトをして貯めたお金で買いました。

ほいほいと次のものを手にすることができなかったのです。

一方で、10〜20代の若者は、無料のものがいくらでもあるので、飽きてもすぐに次のものを手にすることができます。

音楽は聴き放題、動画は見放題なので、消費のスピードがかなり速いです。

今の学校教育では、一冊の教科書を一年かけて、みんなで勉強します。

みんなで足並みをそろえるので、とてもゆっくりです。

もし、個別で学ぶなら、3ヶ月から半年で終わります。

3ヶ月で終わるものを1年かけて勉強する。

消費スピードが学校の先生より格段に早い子どもたちは、学校の勉強にすぐに飽きてしまいます。

このように、時間の流れの感覚でも、大人と子どもに違いがあるので、話がかみあわなくなります。

この時間感覚の違いを認識した上で、子どもに働きかける必要があります。

大人が思っているより、3倍の量の課題を与えても、今の子どもは消費できます。

ですので、大量の課題を与えてあげることも、昼間に「起きている目的」を与えることに役立ちます。

2 「答え」より「問い」を必要としている

30代より上の人は、学校で答えを与えてもらうのが普通でした。

先生から与えられた課題を、先生に言われた通りに取り組む。

答えを早く覚えてアウトプットすることが求められていました。

ですが、最近の子どもたちは、「答えは1つではない」ということを実感しています。

インターネットでたくさんの情報を得ているので、大人が与える答えが、必ずしも正しいとは限らないことをわかっています。

ですので、大人が「正解」を言っても、心に響かないのですね。

では、どのように子どもに働きかけるかというと、「答え」ではなく、「問い」を与えてあげます。

「生活のリズムを整えなさい」と正解を言うのではなく、「生活のリズムが整うと、どんな良いことがある?」と問いを与えて考えさせます。

「学校に復帰しなさい」というのではなく、「進学にはどんな方法があるのかな?高校に行く?それとも大検を利用する?海外の学校に行くのもありだけど、どれが楽しそうだろう?」と、学校に復帰する理由を、自分で考えさせます。

このように、「答えよりも問いを必要としている」という感覚の違いが、大人と子どもにあるので、この違いを理解した上で、働きかけていく必要があります。

3 直線思考ではなく、放射思考をしていることがある

私が中学生の頃のゲームは、ドラクエ、ファイナルファンタジー、ぷよぷよ、テトリスなど、「ああしたらこうなる。だからこうする」という、直線思考が求められるゲームが多かったです。

スーパーファミコンのマリオなどは、左から右にマリオが進んでいきますよね。

一方で、最近のゲームでは、バトルロワイヤル形式のものがあり、一度にたくさんのことが起きています。

「敵の動きを察知しながら、味方の動きも考えつつ、自分の動きを選択する」というように、一度にたくさんのことを考えます。

思考が「A-B-C」というように直線的ではなく、「AーDーaーAーCーfーF」というように、あっちこっちいく「放射思考」をしているのです。

ですので、大人が直線思考で子どもに働きかけても、ピンときません。

この思考の違いも理解した上で、働きかける必要があります。

子どもの気持ちが理解できずとも、「違いがある」ということを理解することか始める

子どもの気持ちが理解できずとも、「違いがある」ということを理解することか始める

以上のように感覚の違いを見てきましたが、子どもたちは、われわれ大人と、かなり感覚が違います。

私自身、最初は、子どもたちとの関わりに苦労しました。

子どもたちの思考が全然理解できなかったからです。

ですが、このような違いを理解し、私自身、その違いを取り入れることで、子どもたちとの意思疎通がうまくできるようになりました。

男性が、女性の出産の痛みを味わうことができないくらい、今の子どもたちの感覚を理解するのは、大人にとって難しいかもしれません。

ですが、「違いがある」ということがわかっていれば、働きかけ方を変えることができます。

少しずつ、子どもの気持ちを理解できるようになってきます。

ですので、まずは、「違いがある」ということを理解することから始めてみてください。

そのようにして、子どもが目的意識を持つことができれば、寝てばかりの生活も改善していきます。